硫酸がどれだけ危険か化学メーカーで勤める研究者が解説します

科学

どうも、みきしゃです!

最近物騒なニュースが数多く報道される中で、今最も取り上げられているのが『硫酸を顔付近にかけた』というニュースかと思います。

皆さんもなんとなく硫酸は危ないものという認識があるかとは思いますが、実際何が起こるのかについて理解できている人は多くないと思います。

そこで今回の記事では、硫酸の危険性についてお伝え出来ればなと思います。現在化学メーカーに努めており、大学院では硫酸を使った合成反応を行っていたので他の人よりは丁寧な説明ができると思います。

この記事を読むと次のような事が分かります。

  • 硫酸とは何か
  • 硫酸の危険性
  • 硫酸が付着するとどうなるか

それでは、一つずつ見ていきましょう。また、今回被害に遭われた方がいち早く回復することを本当に祈っております。

硫酸とは

最初に硫酸について説明します。硫酸は分子式H2SO4で表される強酸性の化合物で、劇物指定されています。

こんなにも恐ろしい薬品ですが、実は硫酸は幅広い分野で使用されています。例えば農業や工業、そして金属鉱物から特定の金属のみを取り除くリーチングにも利用されています。

私達の生活の身近なところで言うと、シャンプーや歯磨き粉を作るのにもラウリル硫酸ナトリウムという化合物が界面活性剤としては使用されています。

合成有機化学の分野でも、ニトロ化や脱水反応など幅広い用途で使用されており、現代社会に置いて必要不可欠な化合物になっています。

硫酸の危険性

続いては硫酸の危険性について述べていきます。

劇物にも指定されているくらいなので、とにかく危ないものみたいな認識は悪いものではないと個人的には考えています。

今回の記事では、皮膚や衣服に付着した場合にどうなるか?ここに注目していきたいと考えています。最近のニュースで硫酸をかけられたと報じられた男性が最悪の場合どのような状態になってしまうのか、ここを重点的に説明します。

まず皮膚に付着した場合です。症状として最も近しいものは火傷です。

単なる火傷ではありません。濃硫酸は不揮発性(蒸発しない)なので、放置しても無くならず付着し続けます。そうして皮膚の深いところへどんどん浸透して行きます。

落とすには大量の水を被せる必要があります。絶対にしてはいけないのは塩基性(アルカリ性)の液体をかけ中和させる事です。中和を行うと中和熱が発生し、より高い熱が被害者を襲うことになるからです。処置としては大量の水で洗い流すが適しているので、覚えておくことをおすすめします。

では、皮膚につかず衣服にのみ付着した場合は大丈夫か?というとそんなことはありません。

濃硫酸は脱水作用があるので、布を焦がし穴を開けます。そしてそのままにしておくと発火の恐れもあります。また、先ほども述べたように不揮発性なので、皮膚まで到達する可能性も十分にあります。

この写真、私が学生時代に使用していた鞄なのですが、誤って床にこぼした濃硫酸が跳ねて付着した結果穴が開いてしまいました。付着してすぐに洗浄してもこれだけの穴が開いてしまうので、付着した服を着続けた場合はおそらく皮膚に到達してしまうと思います。

ニュースで被害者の男性は「目が見えない」と言っていたそうです。おそらく目に入ってしまったのでしょう。そうなると最悪の場合は失明だと思います。

これだけ危険な薬品なんですが、研究室に入った学生であれば容易に入手出来てしまいます。今後は管理と教育を徹底してもらいたいと切に祈っています。

まとめ

今回は硫酸の恐ろしさについて真剣に書かせていただきました。皆さんに今回のニュースの恐ろしさについて再度確認していただければ、幸いです。

一般に大学院で研究を実施する場合、研究者倫理というものを学習します。名前の通り、研究者として必要な倫理観を学ぶのですが、そこではこんなことが言われます。

「何であれ薬品を人にかける等の行為はあってはならない」

このような事を学んでいただけに、私はこのニュースを無視することが出来ませんでした。

今出来る最大限がこの記事を通して読んで下さった皆さんに硫酸の恐ろしさを知ってもらうこと、対処法を知ってもらうことだと判断しました。

人によっては不謹慎と思われる方もいるかもしれませんが、本記事を収益化するつもりはありませんので、寛容な目で見ていただければ幸いです。

今回はとても真面目な内容になりました。雑記ブログですので、今後もこのような記事も書いて行きたいと思っています。

それでは本日はこの辺で失礼したいと思います。また次回の投稿でお会いしましょう!

バイバイ!

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